『猫に鈴をつけるの巻』

NO.6で登場したネコのはるかちゃんが一部で人気を博した。そこで再登場となった。

毎日のようにネズミ、モグラを捕まえてくるはるかちゃんに対し、残虐行為を何とかやめさせようと鈴をつけた。仔猫の時からノラとしてやってきたはるかちゃん、首輪だけでも嫌がり、おまけに鈴をつけるとその音に自ら驚き抵抗した。鈴に、である。つけた時、顎を引いて鈴を噛もうとしてもがくうち、首から口に首輪が移動してはまり込んでアワワとなった。

焦ったはるかちゃんは暴れ狂い、その姿を見て笑ってしまった。首輪は口から外してやったが首からは外してやらない。そのあとも後ろ足の爪で掻き取ろうと蹴りつづけた。どうしても取れないので諦め、チリチリと音をさせながら遊びに行った。夜中に戻ったはるかちゃんは、なんと口にネズミをくわえていたのだ。「G」改め仔猫の「じーじー」はそれを見てまた狂喜した。ちぎれた鈴は、いずこへ。

その後、私とはるかちゃんの、あくなき「鈴つけ鈴ちぎり闘争」が続いた。一時は私が優勢で、頑丈に取り付けた鈴は首輪からのかず居すわり、チリチリと音をたてていた。はるかちゃんは狩りがうまくいかず不機嫌な顔で毎日獲物なしで帰ってきた。じーじーはその姿を見てがっかりした。親子でしょんぼりし、少し寂しげだった。

しかしその後はるかちゃんは、なんとチリチリ音をさせながら毎晩ネズミをくわえて帰ってくるようになる。絶望的になり、めまいがした。音だけではネズミには警報にならないのか。万事休す。私は諦めた。諦めたので首輪は外してやった。はるかちゃんは勝利を収め、晴ればれとした顔で私を見た。

私を負かしたにもかかわらず、気まぐれはるかちゃんはそれからしばらくネズミ捕りをしなくなった。じーじーも外遊びが楽しくなり、ネズミ・モグラだけを楽しみとする生活から世界が少し広がった。鈴をつけなくても、くる時がくればいつかは狩りをやめるのかなと思い、庭で走りまわる親子の姿にホッとしていた。

しかし、しかしである。ここ一ヶ月半ほど狩りをしなかったはるかちゃんは、先日突然野性母性を自ら呼び覚まし、ふたたびネズミをくわえて帰ってきた。すでに生後六ヶ月、母親と同じぐらいの大きさに成長しているじーじーは久しぶりの獲物に歓喜の末、完食してしまった。哀れ野に棲むヒメネズミよ。(モグラは冬眠中なのか近頃犠牲になっていない)

おとなしい性格でも野性や本能は秘めている。飼い猫に昇格しても野性も本能も消えない。おまけに母性も加わった。あの雪の日、はるかちゃんは私を頼って軒下に棲みつき、ノラ→半ノラ→飼い猫へと伸し上がった。
今では十五歳のご隠居ダッ子を二階へ押しやり、息子とともに一階を占領した。宿六のクロまで引っぱり込んだ。はるかちゃんは逞しい。おとなしくともやさしくとも、なかなかしたたかな雌猫である。

女は強し、母は強しである。 
はるかちゃん親子

2003年1月
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