「“それがどうした短歌”も良し」

短歌が面白いと思うようになってきた。

興味をもつのはまだ先のことかと思っていたが、そろそろそんな年である。尤も近頃では若い歌人たちや一般の若い人たちのあいだにも斬新な言葉づかいの「現代短歌」が盛んである。

何ごとも独習が好きな私は、さっそく図書館へ出向き、わかりやすそうな入門書を一冊借りてきた。「今日から始める『短歌の作り方』(成美堂出版)」という本である。短歌という名称が、長歌に対してつけられたことからはじまり、著者の田島邦彦氏は懇切丁寧に説明している。

長歌………五・七・五を三回以上くり返し、最後に七・七と結ぶ形式の歌。

何ごとにも真面目に取り組む私は、二週間で返却しなければならない本の一部をノートに書き写した。(コピーしては頭に入らないので書き写すのだ)歌に興味のある方、すでに作っておられる初心者の方には役立つと思い、仕上げの際にチェックする項目を紹介したい。

【仕上げの総点検】 ( )内は右近のつぶやきである。

1.歌意・文意が通っているか。
 (通っていると思いたい)
2.自分の言葉にして使っているか。
 (自分の言葉にするにはどうすればよい?)
3.一首の中に作者(私)がいるか。
 (いるつもりだ)
4.一首に何か感動か発見があるか。
 (発見してほしい)
5.一首に詩の核かキーワードがあるか。
 (入れているつもりだ)
6.発想・表現に独創性・独自性があるか。
 (あるかどうかわからない)
7.慣用句・美辞麗句で詠んでいないか。
 (詠んでいるかもしれない)
8.俗っぽい語や不完全な語はないか。
 (それらはどんな語のことか?)
9.同じ表現の重複はないか。
 (わざと重複させたことがある)
10.形容詞や動詞が多くないか。
 (形容詞だらけにしたことがある)
11.文語と口語の文体の混用はないか。
 (あるかもしれない)
12.三十一文字の韻律(リズム)はよいか。
 (リズムがよければ字余りもよし)
13.ルビ(ふりがな)の使用は適切か。
 (そう読んでほしいものだけに振っている)
14.漢字・かなの字配りと一首の字数はよいか。
 (それらを考える余裕が出てきた)
15.文法・語法に怪しい箇所はないか。
 (大いにあると思う)
16.「それがどうした短歌」になっていないか。
 (うむ。たびたびなっているかもしれない)
17.二つの意味にとられる心配はないか。
 (とってほしいときもある)
18.現代語と古語の混在はないか。
 (これもあるかもしれない)
19.歌として言い過ぎの部分はないか。
 (どこまでなら言ってもいいのだ?)
20.客観的に読んで納得いく歌か。
 (それができれば苦労はない)

田島先生の挙げる点検項目に、決して難クセをつけたのではない。過去に自分が短歌を作ったときや自作を思い出し、振り返ってみたのだ。これから作ってみようとしている人には、この20項目は忘れてもらい、とりあえず何でもいいからのびのびと作ってみるのがいいかもしれない。

NHKのテレビで「ケイタイ短歌」というのを募集していたが、携帯電話というのは短歌作りに最適のグッズである。実は私も二年ほど前、ベッドに伏しがちの頃、退屈まぎれにケイタイで歌を作っては知人に送信していた。それが短歌作りの最初である。「ケイタイ短歌」はいつでもどこでも気軽に楽しめる。お試しあれ。

それはそうと田島先生も、さすが日夜ことばと闘っておられるお方、16.の「それがどうした短歌」とは抱腹絶倒の命名である。たしかに読んだ後、「ん、それがどうしたの?」という感想しか出ないものはある。しかしそこは素人と割り切って許し合おう。見渡せば本屋には「それがどうした小説」が山積み、街では「それがどうした映画」が盛況だ。そんなものに金を費やす気はなく、少し「こだわり」のあるものを待っているのだが。

と云いつつ拙作も「それがどうした短歌」、「それがどうした詩」、「それがどうした“ひとり言”」、はたまた、「それがどうしたホームページ」になっていないか気になるところではある。
2003年7月
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