「うつとの闘い(その二)」

前回とても深刻な終わり方をしてしまい、ご心配をおかけしたことをお詫びしたい。今日は入り込まず「うつは必ず治る」(河野友信著・新生出版社)という本をもとに客観的に考察する。

うつ病の研究で有名なスイスのキール・ホルツという学者は、うつ病を次のように分類している。

1.身体因性……身体的な状態や病気が原因となって起きるうつ病。脳腫よう、脳障害など器質的な傷害が原因の「器質性うつ病」、腎臓病や血液の傷害、感染症のような病気のために症候的にうつ症状をきたす「症候性うつ病」がある。

2.内因性うつ病……うつ病の中核。「躁うつ病」のように「躁」と「うつ」の二相性のうつ病と、「うつ」だけ見られる単相性のうつ病がある。退行期、更年期、初老期うつ病など四十歳以降六十歳頃までに見られる「遅発性うつ病」もこれに分類される。

3.心因性うつ病……心の状態や傷害が原因となって起きるうつ病で以下がある。抑うつ神経症としての「神経症性うつ病」、大きな心理的なショックを受けるような体験が引き金になって起きる「反応性うつ病」、消耗するような過度な負担が続いたあとに起きる「疲憊(ひはい)性うつ病」の三つである。

うむ。なんと私は1・2・3のどの項目にも当てはまっている。1の「症候性」、2の「遅発性」、3の「反応性うつ病」である。(もちろんきっかけは心理的ショックを受けての「反応性うつ病」が主ではあったのだが。)私がうつ病になりやすい要素はほかにもある。秋から冬に起こる季節性うつ病には、光を補う光パルス療法が良いと言われはじめているが、膠原病になってから私は光を避けて暮らしている。さらに昼夜逆転の生活環境は生体の体内時計を狂わせるとされる。植物ならぬ人間も日照不足は問題なのだ。まだある。病気治療のための薬が引き金になるケースもあり、副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)は精神症状、特にうつ状態を引き起こすことがある。私は三拍子どころか六拍子も揃っているのである。

それだけではない。何よりも一番の原因は性格だろう。うつ病になりやすい人の性格に共通項があることは知られるようになった。以下のどれかにあたる人は要注意である。

A.循環性格……社交的で人づきあいがよく、気だても良くて親切。きさくでほがらか、ユーモアに富み、情が深く陽気な側面を持つ。(クレッチマーが指摘)

B.執着性性格……きちょうめん、きまじめはいいが、ものごとにこだわり過ぎ、なにごとも徹底的にやらなければ気がすまないという執着的なところがある。責任感が強く、凝り性で仕事熱心。ごまかしやズボラができない。(九州大、故・下田教授が指摘)

C.メランコリー親和性性格……大変きちょうめんだが、ある一つの定まった秩序が保たれているところでしか安定できないという傾向にある。常に一定の秩序にとらわれ、それを保とうとする。(テーレンバッハが指摘)

うむうむ。なんと私はA・B・Cみな思い当たる。降参。これで「うつ」にならない方がおかしいとさえ思える。河野氏は、これらは一般的にみれば、社会的にプラスの評価を受け、仕事にも能力を発揮するような性格だと讃えている。その一方で、これらの性格の裏側には弱さやもろさもあると次のように指摘する。「明るく気がいいので周囲からは受け容れられやすいが、自分を押し殺してまで周囲に合わせたり、同調してしまう。あるいは秩序が乱れるような状態や変化に対して弱く順応しにくい。手抜きができないため何ごとにも綿密に完全にしようとするきちょうめんさ、執着性が自身を苦しめ、仕事の質と量の相克に苦しむ。他人との摩擦を避けようとするあまり、極端に他人本位に考える。また、道徳的にも過度に良心的であるため負担が大きくなり、ささいなことにも強い罪悪感を持つことになる。」なるほど。ため息が出る。

河野氏は、うつ病の人に共通に見られるのは、きちょうめんすぎて周囲の環境の変化についていきにくく、柔軟性に欠けるところであると強調する。そしてそのような性格特徴に自らが気がつけば、うつ病の発症や再発を予防できるのだという。

気がついているが、性格を改善するにはどうすればよいかがわからない。するとまたきちょうめんにもその方法を一生懸命に考えはじめたりするのだ。本当に困った性格である。

うつに関して次回しめくくるつもりでいる。辛抱してもう一度だけお付き合い願えれば幸いである。
(続く)

2003年9月

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