『わが友“膠原病(こうげんびょう)”』

膠原病とのつき合いも7年目になる。人間ならば「気心の知れた朋友」というところであろうか。

最近やっと知られはじめたこの病名ではあるが、どんな病気であるかということなると首を傾げる人がまだ多い。知名度の低いこの友人を、私が少しばかり紹介したい。

1.膠原病という病名について

人間の体は心臓、肺、胃腸などの臓器と、それらの間を埋めたりつないだりしている結合組織という部分に分かれる。結合組織の役割は細胞、組織、臓器を保護し結合することである。酸素や栄養分を補給し、細胞の働きを維持している。

結合組織中の膠原繊維に病変がおこる病気を一括し、1943年、病理学者クランペラーによって膠原病と名づけられた。その後、結合組織病という呼称が一般的になったが、日本では膠原病という名前が定着している。

膠原病には代表的な「全身性エリテマトーデス(SLE)」、私のもつ「シェーグレン症候群」ほか十数種の病気が含まれる。膠原病とは心臓病、胃腸病のような呼び方と同じで、免疫の異常によって結合組織や内臓、皮膚、腺、関節などに病変が起こる全身病の総称なのである。

2.膠原病とは――免疫の異常

私たちの体には免疫が働いている。外部からの異物や細菌の侵入に対し、それらを呑みこんで処理するのが免疫のしくみである。白血球中のいろいろな物質が異物や細菌を無害化し、排除できる抗体をつくる。この免疫の働きのおかげで、私たちはケガや病気から守られたり、治癒され元気に活動ができる。ところが、免疫が異常に働いてしまうのが膠原病なのだ。

自分の体の成分を外部から侵入した異物と勘ちがいし、排除する必要のないものにまで反応を起こしてしまう。自身の体を「抗原」、つまり敵だと見まちがい、免疫反応はそれを排除しようと「抗体」をつくる。本当は仲間であるのに寝ぼけまなこで相手を見あやまったか、やっつけようと躍起になる。しかもこの免疫反応(自己アレルギー)は一旦起こってしまうと決して止まらない。自分で自分を傷めつづけてしまうのである。だから膠原病は完治することがないのだ。

3.原因、治療法、etc...

難病の多くがその原因を解明されていないように、膠原病も体質、素因、環境因子において決定的な原因となるものは特定されていない。身内には誰もいないし、特に変わった生活をしていたわけでもないから、私もなぜ発病したのか思いあたらない。しかし、かかってしまったのだから、原因を探るよりも進行を遅らせることを考えなければならない。ステロイドホルモンにたよりながら、無理をせず、のんびりと過ごす。何かあったら対症療法で改善させる。これしかない。

発症の誘因と考えられるものには感染症、薬物、紫外線照射、妊娠、出産、寒冷、外傷、外科的手術、異物注入、ストレスなどがある。これらの中には意識して避けられるものが含まれている。いらぬおせっかいかもしれないが、膠原病の発症が圧倒的に女性に多いことを鑑み、忠告しておきたい。親愛なる女性たちに告ぐ。以下のことは、絶対に守るべし。

■強い紫外線をうけない
 元気者のアウトドア派が、一夜明ければ難病患者になってしまうことがある。
■薬物、シリコン、パラフィンなどをむやみに体に入れない。
 すぐ薬にたよったり、はやりの美容整形を安易に受けるのはとても危険。
■ストレスをためすぎない
心身ともに疲れたらすぐに休むべし。無理をしすぎた私は、これが原因か。

とにかく自分の体が異物として拒絶する可能性のあるものは、努めて避けて通るのが賢明だ。発症の瞬間から、並々ならない辛さと不自由さを強いられるこの病気にかかる人が少ないに越したことはない。人は皆、すこやかであって欲しい。

こまごまとした不自由さはあるが、私は幸いにも現在は症状が安定している。緑に囲まれて住み、アジを干し、猫と遊び、本を読み、詩(のようなもの)を書いて暮らす私は、慢性病患者としては恵まれた生活をしていることを感謝している。

さて、わが友よ。そろりそろりと参ろうか。旅は道連れ世は情け。椎茸が干し上がった。本日も晴天なり。
2003年5月
前のひとり言 次のひとり言

ひとり言 INDEXへ