獣(Kemono)


眼をあけてぼくの顔をごらん
吹き出す汗が見えるだろ
ぼくの肩や腕をごらん
筋肉がぴくぴく動いているだろ
聴こえているだろ
声とも息とも知れない咆吼が

帰る時間が迫ってくると
ぼくはわざと饒舌になり
君は無口になってしまう
今にも泣きそうな君
たまらず抱きしめ
口づけをしてしまう

腕のなかで瞳をとじて
ぼくに為されるがままの君
すべてをゆだねて厭わぬ君
たとえようもないほど愛しくて
やさしく愛そうと思うのだが
身体の底からこみあげて
もう だめさ

ごめんよ
荒々しく君を求めて
ぼくは獣になってしまう      


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