口づけたくて


そしてぼくらは手を握り
何も云わずに歩いていた

学校帰りの小学生
買物帰りの母と幼児

いろいろな人びとが
忙しそうに行き来する夕暮れ


草ぼうぼうの公園で
ぼくらはベンチに座ってみた

めったやたらに蚊が多く
あちこち刺されて痒かった

君が差しだすペットボトルを
何も云わずに受けとり飲んだ


君は何を考えているのだろうと
すこしばかり気になったけれど

ぼくはまた手を握り
何も云わずに座っていた

勤め人も家路を急ぎ
小道には人がふえた


ぼくらはやっぱり手を握り
ときどき額の汗を拭きあった

やっと陽が沈みかけ
いっそう蚊には刺されたけれど

片手であちこち掻きながら
汗ばむ手を握りあい宵闇を待ちわびた
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