秋茄子


わたしたちの菜園には
夏にはかならず茄子があった
あなたが育てた最後の茄子が哀しくゆれる

此の世から居なくなる二日まえ
枝打ちをしてあなたが云った
これで秋茄子がたくさんできるぞ


その言葉どおり
終わったかのごとく見えた枝々に
つぎつぎと紫の花がつきはじめた

艶やかな実がいくつもでき
あなたがいない一人ぼっちの食卓に
茄子料理が並びつづけた


まだまだ此の世にいたいんだ
あなたの心を伝えるように
茄子の実は成ることをやめない

どんなふうにあなたを枝打ちしておけば
あなたも息を吹きかえしたのだろう
もう少し生きのびたのだろう


摘む いとおしむ 食べつくす
わたしを愛して果てた男
あなたの命の味がする


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