花冷え


闇夜に浮かぶ桜の木
あやかし まやかし
うつくしき女の化身


花冷えに 肌さむく
風もなく おぼろ月
ひとひらも舞いもせず

おまえ さくら
なにを想うて佇んでいる
こぼれるほどの花まとい


あしたには散りゆく運命
それを悲しと嘆くのか
なにゆえ涙にくれるのか

今宵ひと夜 夢ひと夜
わたしと肌をかさねぬか
うつくしさの極みの折に


卯月の寒月 おぼろ月
風おとずれて 花ゆれて
なごりおしげに花ふるえ

ならばどうかわたくしを
あなたさまの手によりて
燃えて狂わせ散らして候


闇夜に浮かぶ桜の精
化かされたとて悔いはない
雪かとおもえば桜ひとひら


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