さくら空


あなたが逝って三度めの春
ことしも桜が咲きました
あなたが荼毘にふされた日と
おなじように満開です

ひとすじの煙になって
天に昇るあなたを見おくり
あなたが花を咲かせたのだと
蒼い空をながめていました

あなた今 しあわせですか
あの人と しあわせですか
それでもあなた
地上のことが気がかりでしょ



あなたなぜ 生きいそいだのですか
罪も恥も生きていることの証し
泥にまみれて愛することを
なぜ選ばなかったのですか

あなたなぜ 一人で苦しんだのですか
あの人は後を追って命を絶ち
彼は子どもたちと生きています
どちらの男にも甘えればよかった

あなたなぜ 散りいそいだのですか
匂いたつ桜のような女ざかりに
ただ狂って咲き乱れればよかった
どちらが終の男なのかわかるまで



こんなうららかな春の日は
あなたのことを想います
あなたが地上に舞いおりて
ひと花ごとに咲かせているようで

陽に透ける花びらの果て
見あげれば 蒼天
あなたが棲む さくら空


※終(つい)……最後、結末。
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