秋雷(しゅうらい)


コップに湯割りの芋焼酎
おまえはベリーの甘い酒
たいした肴もないけれど
チーズと竹輪と煮物など

くれなゐに
頬そめおまえほのかに酔い
わが手には三杯めの湯割り
降りはじめた雨の音して
吐息もらすおまえ艶やか
窓ガラスに一瞬の閃光あり
真昼かとまごう明るさ呈し
しばしおいて雷鳴とどろき
()()のように脅えるおまえ
ゆるやかに倒せば灯り消し
掌の中にはやわらかな乳房

秋なのに 雷
丑三つに 雷
おまえに 雷
わたしに 雷

熱きくちびる重なりて
生きもののごとく絡む舌
奪いあいて貪りあいて
おまえがここに居ることは
神の恵みか仏の慈悲かと
おまえが生きて在ることは
すべては私の為なりかと
抱きしめては揺するにつけ
ふたたび巡りきた(えにし)かと
紅き糸をたぐりたぐりて
たどり着いたおみなごかと

激しい雨音
掻き消される善がり声
雨音よりも聞きたくて
突く指先に稲妻走りて

※秋雷……秋の雷(水無月右近の造語)

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