既視感(デ・ジャヴ)


この光景はどこかで見たような

それがいつのことで

ふたりがなぜそこにいたのかも

なにもわからないけれど


この人はここにいて緑の風をうけていたし

それからこんなことを口にして明るく笑った

つぎに私がこう答えてはにかみ俯くはずだ

今が再現フィルムになっている不可思議


デ・ジャヴ ジャヴ ジャヴ

過去と現実が錯綜して氾濫する

長靴の中にたまった水の感触を愉しむごとく

つかのまひとり遊びをさせてくれる既視感


この光景も この人の笑顔も声も優しさも

はじめてここで見て感じているはずが

ずっと昔から私の記憶の源流で

ゆらゆらと川藻のようにゆらめいていたような    


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