球形のルート


スポットライトの中の曲芸師は
黒い皮のつなぎ服を身につけて
透けた地球の内部に入っていく

マシンに跨りエンジンをかけ
耳をつんざく爆音がすると
浅い角度で回転しはじめる


水平に円周を走るマシン
息を呑んで見つめる僕
あんなことができるんだ……

遠心力に動かされ
地軸をかすめてはいくつもの
おびただしい断面を造りつづける


僕もサーカスの曲芸師のよう
走りつづける前にも後にも
あるのは円周 球形のルートだけ

ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる
狭い世界の中だけを
爆音たてて走りまわる


オートバイ曲芸師は
エンジンを停めると拍手を浴び
涼しい顔で姿を消したが

いつまで僕はこうしているのか
終わりのない曲芸などあるのかどうか
とにもかくにも走りつづけて停まれない


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