干 蝉 (かんぜみ)

生け垣の枝に蝉の抜け殻
近づけば割れた背より身を乗り出し
蝉の体も乾いて在り

這い出ようともがけども
力尽きて絶命したか
身も殻も干からびて褐色

地中で眠りについたのは七年前か
その頃わたしは幸せだったが
おまえも赤子で幸せだったか

ドジだな おまえ
ひと目でもこの世を見たのか
ひとすじでも日の光を浴びたのか

ドジだよ おまえ
ひと息でもこの世を吸ったか
ひとときでも夏の風に吹かれたか

ドジだぜ まったく
不器用もほどほどにしろってば
そこでいつまで乾いているんだ

おまえの無念 見届けたぜ
まるで即身成仏だよ
その姿 しびれるほどカッコいい





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