朽ち葉のごとく


雨だから散歩に出かけた

久しぶりの外気が冷たい


このなだらかな坂を下り

男は毎朝バス停へ歩いたのだ



公園への石段に楓の葉

ひらひら落ちて紅い色


死んだ男とも別れた女とも

ここからの景色を眺めたっけ



男はいつも仏頂面をし

何も言わず黙っていた


女は子どもになってはしゃぎ

すべり台やブランコに興じた



思い出のかずかずあふれ

雨に打たれて土に還る


傘からたれる雨のしずくが

朽ち葉に落ちて音をたてる



私もここで雨に打たれ

朽ち葉のごとく朽ち果てられたら


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