夕 餉(ゆうげ)


山盛りの五穀めし
干しあがった小アジ三匹
野菜の煮物に納豆 漬物
豆腐とワカメの味噌汁と

かき込み 喰らう
ひとりの夕餉
餓餽のごとく


湯割りの焼酎
食道を灼いて流れ
胃を溶かすほど熱く
身体じゅうに沁みわたる

あおりて 喰らう
ひとりの夕餉
餓餽のごとく


どこかで人が今日も殺され
見知らぬ者らが心中をし
雪が人の命を奪ったと
機械的な声が伝える

喰らうほど 呑むほどに
満ちたりて 酔うほどに
欲を満たして永らえる
ただ一匹の動物だと知る


食欲も 性欲も
つれて生きるも
満たすは孤り
孤りがよい



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