雨 五首




鬼雨ふりしきる水無月の夜




きう
さびしさに浮遊霊もすすり泣く



私雨がわたしにだけ降る





わたくしあめ
太陽はここだけ照らず雨もよう

遣らずの雨が降りだす夕暮れ



じゃまた  と君がふりむき微笑めば

一粒落ちた空知らぬ雨
涙ため手布にぎる君の手に





ハンケチ


早く来ぬかと君まちわびる
昼下がり小糠雨ふる街角で





こぬかあめ

※小糠雨……細かくて柔らかい雨
※空知らぬ雨……涙のこと
※遣らずの雨……帰ろうとする人を引きとめるかのように降りだす雨
※私雨……自分のまわりにだけと思ってしまうような、ひとところにだけ降る雨
※鬼雨……亡霊が啜り泣くように降りしきる雨

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