2006年夏の総括 庭・猫・外出編

この夏は短かった。梅雨明けが遅れ、7月には日照時間が足りず野菜の成長も遅れた。低温から一転、8月になると猛暑となって高温になり、野菜は急成長した。けれども今年の夏野菜は良い出来ではなかった。

毎年たくさんできるキュウリは苗を3つ植えたのだが、1つがまったく伸びなかった。あとの2つは伸び始めたのでホッとした。先の1つはせっかく成長かけたが、途中で蔓枯れ病で枯れてしまった。2本の方も、いつもより実のつき方が少なく、人にあげるほどもできなかった。ナスもいくつか実がなったが、多くはなかった。せっかくできたものも私より先に虫が食い、まともなものは僅かであった。ゴーヤも去年ほどは穫れなかった。

よくできたものはカボチャ、ミニトマト、ジャガイモである。カボチャは初めて苗を1つだけ植えたのだが、植えるなり凄い勢いで蔓を伸ばし、大きな葉や鮮やかな黄色の花をいくつもつけた。本にある通り、1本の蔓に2〜3個の実がなるように、あとの小蔓を切り落とした。それが良かったのか選んだ実は大きくなり、7個のカボチャができた。形も大きさも申し分なく、惚れぼれするようなものであった。人にあげても大そう喜んでいただいた。外から見ればまさに立派、だが切ってみると色は薄め、食べてみると味は淡白であったが、それはそれで美味であった。

ミニトマトは例年と同じく赤と黄色を植えた。気温が上がるといきなり実をつけ色づいた。毎夕、ザルを手にして収穫を楽しんだ。実を取りながら、時々ひとつふたつと口に入れて味わうのは菜園ならではの楽しみである。成長を続けて、実を食べきれないので、いつものごとくトマトソースにして冷凍保存した。ミートソース、シチュー、カレーに入れると味を引き立ててくれる。ジャングルのように生い茂ったトマトも、そろそろ終りである。

ジャガイモも豊作であった。4月に植えた種芋から伸びた茎は何本かが病気にやられたが、大きなザルに入りきれないほどに、キタノアカリという競馬の馬のような名前がついた北海道のジャガイモがうまくできた。コロッケをたくさん作って人にも分けた。黄色味のある芋はホクホクとしてとてもおいしい。

シソは種を蒔かなくても、初夏の頃にいくらでも芽を出す。限られたスペースでの栽培につき、株が多すぎて困る。いつもの年は間引いていたが、今年は妙案を思いついた。家の前に置いてみて、持ち帰ってもらえばどうかと考えたのだ。そこで苗が15cmほどに育てばビニールポットに移し替え、ケースに並べて「ご自由にお持ち帰り下さい」と書いて家の前に置いておくと、道行く人がずいぶん持ち帰ってくださった。30個もまとめて貰ってくださったものも合計すると、60数個のポットが貰われていった。“Hiroshiのシソ”が広まるのはとても嬉しい。

今夏ことのほか暑さが厳しかったからか、庭へ出るのに気おくれし、あまり手入れが行き届かなかった。その結果、作物には虫が多くついたり、原因がよく判らないまま枯れたり病気になったりして気落ちした。連作障害(続けて同じものを作ると旨く育たない)や、ふえた猫たちの糞尿も影響してか全体的に不作であった。あまりの暑さと蚊の多さにマイりながら、やっぱり私は農作物を心底愛するナチュラル派にはなれないことを改めて知った。

夏の間に猫がまたふえ、大きくなった。7月初めにトラ子が4ひきの子猫を連れて来た時には「またか。しかも4ひきも!」とクラクラした。しかし可愛いではないか。両親ともに茶トラの子どもたちは、全員が茶トラであった。詳しくは「右近的日常」(No.22)ですでに述べた通りである。いちどに庭は賑やかになった。飼い猫たちの方が肩身が狭くなり、家からの出入りの際にも数で勝る外猫たちの迫力の凄さにタジタジとなっていた。外猫の目を盗んで庭へ出たり通らなければならなくなった。なつっこいコだけでもと貰い手探しを始めたところである。

その他、この夏のことで特筆すべきは外出回数である。8月といえばエアコンが回っていない所はない。車、電車、飲食店、本屋、デパート、図書館……。年々シェーグレンによる乾燥はひどくなっており、どこへ行くにも不都合になってきた。車に乗ると蒸し風呂である。エアコンをつけると5分もしないうちに目や鼻腔が乾いて痛む。電車に乗ると天井から勢いよく冷風が吹き出して乾く。何か飲みたい、食べたいと店に入ると、さらに強い冷風が当たる。居酒屋など行こうものならば、タバコの煙まじりの冷風が渦巻き、3分ともたない。8月の外出は鬼門なのであった。

ところがその8月に、なんと私は4〜5回も出かけたのだ。何も用がなければ決して出かけたくないのが真夏である。だが、どうしても行かなければならない用事があって出かけた。それらは寺詣りとメガネとつくることであった。寺詣りはお盆の先祖供養とHiroshiの経木を納めるために、気温は38度もあろうかという日に、一大決心をして、猛暑の真っ昼間に出かけたのであった。具合が悪くなれば帰ってから寝ていればいい。いついつまでにしなければならないことがある訳でなし、悪くなればなった時のことだと思い、勇敢にも私は、苦手の盛夏にもひるまず家を出たのであった。

これより前、同じように暑い日にメガネをつくりに出かけている。5年ほど前、Hiroshiと一緒につくりに行ったメガネが合わなくなっていたからだ。小さな文字の本が読みづらくなり、困っていたのだ。家の近くにメガネ屋はいくつもあるが、なじみのある店でつくりたいと思い、わざわざ遠くまで行った。待応は良かったが、出来たメガネにトラブルがあり、また持参し、また取りに行き、都合4回もメガネのことで外出した。どれも暑い日ばかりであった。

出かけるとお茶も飲めば何か食べもするし、本屋へはかならず寄る。外出先で、すでに乾燥症状が出て苦しむこともあるが、帰宅してからドッと出ることが多い。帰るとすぐにいろいろケアをし、冷やして横になる。しかしながら外出できたことに満足であり、気分も高揚するのか、そのあとの苦痛はたいしたことではない。それに、苦痛を緩和できる方法も身についた。冷気に当たらない、乾燥させないということを徹底すれば良いのである。

それは難しいことであるが努力はしている。たとえば車では“濡れマスク”に、風が入らないサングラスをかける。電車では濡れマスクにサングラスでは怪しすぎて捕えられるかもしれないので、濡れていないマスクかサングラスのどちらかになる。(両方するとコレも怪しい)日射しの中を歩くことは、日除け対策さえしていれば比較的大丈夫で、暑い中を歩くことは平気である。とにかく夏は乾燥を防ぐことが私にとっては最重要なことなのだ。全く駄目だと思っていた夏の外出ができたことは、至極満足であった。しかし暑い夏であった。

秋雨が続き、急に涼しくなったと思えば今日は残暑が厳しかった。けれども庭では虫の音がもう聞こえている。秋が近い。

今年最初の収穫の日に撮影 初めて作ったカボチャ

                               (完)

2006年9月8日 

         
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